この曲を聴け!
Spectrum of Death / MORBID SAINT
火薬バカ一代 ★★★ (2025-05-06 00:48:35)
'84年にアメリカはウィスコンシン州にて結成、DEATHのマネージャーだったエリック・グリーフに見出されてデビューを飾ったMORBID SAINT、’90年発表の1stアルバム(エリックがプロデュースとミキシングを担当)。
当時カルト的人気を博し、「本作を知らない奴はモグリ」とも評されたそうですが、モグリだった当方は全く認知しておらず、彼らの名前を見聞きするようになったのはネット環境が整った00年代以降のことだったと記憶しています。その時には既に本作はプレミア・アイテム化していて全く手が出なかったものの、それが今じゃ国内盤(幻の2ndアルバムとカップリング仕様)で気軽に入手できるようになったのですから凄い時代になったものだなぁと。
それはさておき。ここで炸裂しているのは、畳み掛ける疾走感はスラッシュ・メタル由来、絶叫Voや蠢くように刻まれるGリフの質感はデス・メタル風味…といった感じに、’90年というエクストリーム・ミュージック過渡期ならではの両ジャンルを横断するサウンドであり、リフ/リズム・チェンジが次々決まりまくる複雑な曲展開を澱みなくこなすメンバーのプレイ・アビリティ含め、個人的には後期DARK ANGELを思い出したりもする作風に仕上がっています。特に未舗装の悪路をガタピシ言わせながらトラックで強引に走破するようなDsはジーン・ホグランに勝るとも劣らぬド迫力っぷりで、7分越えの長尺をハイテンションで牽引する③、一転して3分弱というタイトな尺を、ネジを飛ばしたGとトチ狂ったように並走する④辺りは、Dsの暴れっぷりを聴いてるだけでも楽しめてしまう出来栄えですよ。
発表が早過ぎたとも遅過ぎたともどちらともいえる、時代の隙間に落ち込んでしまった不遇の名盤。
→同意